1st Fill Sherry Butt #302 1993/2023 559 of 562
1stフィル・シェリーが語る静かな到達点
エドラダワー 30年 1993 シングルカスクの基本情報
ボトル概要
- 蒸留所:エドラダワー蒸留所
- 蒸留年:1993年
- 熟成年数:30年
- タイプ:シングルモルト・シングルカスク
- カスク:1st Fill オロロソ・シェリーバット
- ボトリング本数:562本
- 日本入荷数:40本
- アルコール度数:56%
- 生産地:スコットランド/ハイランド
この一本は、その前提をすべて満たしたうえで、なお余白を残すウイスキーだ。
エドラダワー蒸留所という存在
スコットランド最小規模の蒸留所
エドラダワーは、スコットランドでも最小規模とされる蒸留所のひとつだ。初留釜と再留釜は各一基のみ。人の手が無理なく届く範囲で、今も蒸留が続けられている。生産量が少ないのは、希少性を狙った結果ではない。変えなかった結果、自然とそうなっただけだ。
キングスランサムとエドラダワー
20世紀の大半、エドラダワーは「キングスランサム」というブレンデッドウイスキーの中核モルトを担っていた。贅沢すぎる造りゆえ、キングスランサムはやがて姿を消すが、その評価の高さは今も語られる。現在、蒸留所は大手ボトラーである シグナトリー・ヴィンテージ の所有となり、オフィシャルボトルとしてのエドラダワーも、世界的に知られる存在となった。
1stフィル・シェリーで30年熟成という意味
1stフィル・オロロソ・シェリー樽
1stフィルのオロロソ・シェリー樽は、色と香味の影響が非常に強い。短期熟成では樽が前に出すぎることもあるが、30年という時間があれば話は別だ。樽と原酒が拮抗し、やがて溶け合う。このバランスに到達できる原酒は、決して多くない。
30年という時間がもたらすもの
30年熟成は、単に長いだけでは意味を持たない。若さは削がれ、角は丸まり、残るのは骨格と静けさだ。このエドラダワーは、時間を重ねた結果として、「強さ」ではなく「落ち着き」を選び取った一本だと感じる。
バーテンダーが語る、この一本
カウンターに立っていると、ときどき説明を控えたくなるボトルに出会います。このエドラダワー30年、1993年蒸留のシングルカスクが、まさにそうした一本です。スコットランド・ハイランドの小さな蒸留所で、変わらぬ規模のまま造られてきた原酒が、1stフィル・シェリー樽で30年を過ごしました。
グラスに注げば、まず色が語り始めます。含むと、アプリコットやレーズン、チョコレートのニュアンスが感じられます。甘さはありますが、決して軽くはありません。長い熟成を経たモルトだけが持つ、静かな厚みがゆっくりと広がっていきます。
数は多くありません。ですが、急がせるつもりはありません。もしこの一本と出会われたなら、その夜の流れに身を任せて、ゆっくりと向き合っていただければと思います。
